野外リサイタルの上空を飛び交ったジェット機の轟音にも負けなかった伝説の声
クレスパンはフランス出身(イタリア系フランス人)のソプラノ。フランス人として国際的に活躍した当時では数少ない声楽家の一人です。当時のイタリア人やドイツ語圏の歌手は自国語のオペラを歌うことが多かった中、フランス人またはフランス語圏の歌手は自国以外のイタリア、ドイツ、のオペラもレパートリー
として歌っており、クレスパンもそれにもれずレパートリーにして活躍した。指揮者のニコラウス・アルノンクールが、『音楽はその土地の言葉で、何かを語っています。』とレクチャーしていますが、ドイツ語の発音が正確で、彼女の元帥夫人を聴いたドイツ人が彼女がフランス人であることに気づかなかったとか。それに「パルジファル」のクンドリーでも人気を博し「地中海のクンドリー」と称された。特に「ワルキューレ」のジークリンデ、「ばらの騎士」の元帥夫人は彼女の歌う役の中でも秀逸とされる。