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2020年04月10日

忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ ― 銭湯の女湯から客が消えた

君の名は


太平洋戦争末期の東京大空襲の夜、焼夷弾が降り注ぐなか、見知らぬ同士の氏家真知子と後宮春樹は、助け合って逃げ回るうちに、銀座・数寄屋橋にたどり着く。そこで2人は「生きていたら半年後、それがだめならさらに半年後にこの橋で会おう」と約束する。昭和24年にハリウッド映画『哀愁』(製作は1940年)が日本で封切られていた。主演はビビアン・リーとロバート・テイラー。第一次世界大戦下の前線基地となったロンドンのウォータールー橋の上で出会った男と女が、恋に落ち、引き裂かれ、そして再会と別離の果ての悲劇。荒んだ渾沌とした世の中であったからこそ「純愛」という言葉に人々が酔い、ハリウッド映画『哀愁』がつむぎだす純愛物語に日本のファンが酔ったのだろう。ラジオは、戦後の焼け跡の中で、映画と並んで人々の数少ない娯楽の1つとなった。春樹が「君の名は?」と尋ねるが、真知子は名乗らないまま立ち去る。戦争前の映画の栄華(「愛染かつら」を筆頭とするさまざまな障害やすれ違いをのりこえむすばれる)を邂逅する”すれちがい”メロドラマである。番組の冒頭で「忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ」という来宮良子のナレーションが流れ、「忘却とは忘れ去ることなり」は流行語にもなった。主題歌「君の名は」作詞は、菊田一夫・作曲は、古関裕而。当時のラジオ放送は生放送だったので、劇中のハモンドオルガンも古関裕而が、自ら演奏している。放送は、1952(昭和27)年4月10日から翌年の4月10日まで続いた。



Posted by analogsound at 23:27
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