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ジャズのLPアルバムのライナーノーツには、パーソナルに加えて、必ずと言えるくらいに録音年月日が記載されています。録音スタジオと録音年月日がアルバム・タイトルになっていて、ただの記号ではなくジャズ・ファンの間では通じ合うほどです。
中にはマイクのセッティングまで説明されているものさえあります。クラシック音楽では、興味はスコアの版に傾倒するようで、録音ホールと録音日は目安とされている扱いでしょうか。ポップスの場合は、アルバムとして仕上げられた一枚一枚が重要で、何年に制作されたか把握できればいいようです。
ジャズはその日の、その瞬間に音楽を完成の域に高めます。一期一会のチャンスなのです。マイルス・デイヴィスの代表曲のひとつとして知られる「ソー・ホワット」ですが、この曲は公式盤でなんと10ヴァージョンもリリースされています。中でも『ブラックホークのマイルス・デイヴィス』と呼ばれるアルバムが、“マイルスの数あるライヴ・アルバムの中でも最もモダン・ジャズを感じさせるアルバム”と評価されています。
1961年4月21日と22日にサンフランシスコのナイトクラブ、ブラックホークで行われたライヴは、金曜日と土曜日に行われたことから、「In Person Friday Nights at the Blackhawk, San Francisco, Volume 1」と「In Person Saturday Nights at the Blackhawk, San Francisco, Volume 2」のタイトルで1961年９月１日に発売されました。
両日ともおよそ２時間のライヴが完全に録音として残っており、現在は完全版で聴くことができます。演奏曲には重複もありますが、CBSレコードは、重複しない選曲で２枚のLPレコードにして大ヒットを迎えます。