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2020年05月05日
数の子は音を食うもの ― 縁起物としても、こどもの日は数の子を

数の子を歯の上に載せてパチパチプツプツと噛む、あの響きが良い。音が味を助けるとか、音響が味の重きをなしているものには、魚の卵のほかに、海月、木耳、かき餅、煎餅、沢庵など。そのほか、音の響きがあるためにうまいというものを数え上げたら切りがない。数の子も口中に魚卵の弾丸のように炸裂する交響楽によって、数の子の真味を発揮しているのである。もし数の子からこの音の響きを取り除けたら、とうていあの美味はなかろう。それゆえ、歯のわるい人には、これほどつまらないものはないだろう。
数の子は文字通り卵(子)の数が多いもの。そのため「子孫繁栄」の象徴として祝魏等に用いられてきました。
その一環として「こどもの日」にも子どもが健やかに育ってもらいたい、との思いから縁起物として数の子が食べられてきました。
これにより、改めて両親に感謝するという、古くからの日本の食文化を広めたいとの思いにより制定された。「かずの子の日」を制定したのは、北海道水産物加工協同組合連合会。
かずの子を食うのに他の味を滲み込ませることは禁物だ。醤油に漬け込んでおくことも禁物だ。干し数の子は、包丁で切ると、どうもおもしろくないし、美味くもない。これはやはり指先でほぐしたものにかぎるようだ。水にもどしてやわらかくなったものをよく洗い、適当の大きさに指先でほぐし、花かつおまたは粉ガツオのよいものを、少し余計目にかけて、その上に醤油をかけ、醤油があまり卵の中に滲み込まないうちに食うのが、数の子を美味しく食う一番の方法である。しかも、これが従来、世間でふつうに行われている方法である。
数の子にはDHAやEPAをはじめ、ビタミンE、鉄分、亜鉛を含み、脳の活性化、生活習慣病や貧血の予防、抗酸化作用や免疫力の向上等様々な効果が期待できます。おまけに魚卵に多いというイメージがある「プリン体」が少ないという縁起物です。
「骨が多くて魚が嫌い」という子供も多いですが、できれば食べさせたい数の子料理ですね。
かずの子の親漁、ニシンの生は煮ても焼いてもさほど美味くないが、これを一旦四つ裂きにしたのを乾物にし、それをまた水でもどしてやわらかくし、その上、料理したものは立派に美食として取り扱い得る力を持っている。
かずの子には、口中でパリパリ炸裂せず、型のごとき音の響きを発せず、シコシコ、ニチャニチャして、少し渋味のあるようなものがあるが、それは卵が胎内において成熟していないのである。いわば臨月間際のものではなくて、妊娠五か月六か月程度の未熟なものである。このような成熟しないものは、いかに数の子といえども、不味いものである。(昭和5年)~魯山人著作集 第三巻 料理論集 北大路魯山人著より
Posted by 武者がえし at 23:43
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