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2020年09月03日

珠玉の名曲をカラヤンの名演で聴く 第3盤 ヨゼフ・シュトラウスのワルツ《天体の音楽》


カラヤンが自伝の中で「血の中を流れている」と語る楽曲たち

ドイツ・グラモフォンはクラシック音楽の音のカタログ化を目標としていたが、カラヤンは30歳でレコーディングを経験する。驚きの抜擢で、レコード録音も黎明期である。当時最高の指揮者たちは「音の缶詰」と言って鼻を摘んでいたからだ。戦前のベルリン国立歌劇場管、コンセルトヘボウ管、そしてベルリン・フィルを相手に、後年に比べてかなり濃厚でロマンティックな表情も随所に見せるカラヤン30歳代の演奏は、1980年代に最高に達するが、カラヤンは過去に録音した名曲は例外はあるが全て後年にベルリン・フィルでレコードを録音し直している。

1939年に当時のSPレコード(78回転30センチ盤両面に約9分を収録できるフォーマット)に初録音したカラヤンは、生涯にわたってレコーディングに熱心に取り組み、1982年にコンパクト・ディスクが開発された際は、その収録時間に影響を与えたことでも知られています。LPレコードのフォーマットには、彼がベルリン・フィルの首席指揮者に就任する直前の1950年頃から、ベルリン・フィルを完全に自らの“楽器”とし、インターナショナルな存在へと変貌させた1980年代まで、彼の絶頂期の演奏が刻み込まれており、かつ彼自身が選曲や演奏ばかりでなく、装丁や録音にも深く携わったものが多く、カラヤンとレコーディングの関係を知るうえで欠かすことができません。

シュトラウス一族のワルツ&ポルカ&マーチ集

わが人生は愛と喜び

ヨーゼフ・シュトラウスは、1827年オーストリア生まれで、ワルツ王として有名なヨハン・シュトラウス2世の弟にあたります。兄や父と違って最初は工学技師を目指していましたが、病気の兄の代役で指揮を務めたことがきっかけで音楽家としてデビュー。生涯で280曲以上の作品を残しました。
繊細で詩情豊かな作風は“ワルツのシューベルト”と呼ばれ、その才能についてはワルツ王の兄も、「ペピ(ヨーゼフの愛称)のほうが才能がある。私はただ人気があるだけだ」と言ったということです。
そんなヨーゼフ・シュトラウスの代表作がワルツ「天体の音楽」です。タイトルは、宇宙全体がひとつのハーモニーを奏でているとする古代ギリシャ思想“天球の音楽”から来ています。
曲は5つの小ワルツから構成されています。ワルツのメロディももちろん美しいですが、冒頭の静かな序奏部が夜空を見渡すような神秘的なムードをかもし出していて、とりわけ魅力的です。

ヨハン・シュトラウスは喜歌劇「こうもり」で一躍時代の寵児になりますが、歌劇を作曲してこそ宮廷音楽家に認められなかった。ウィンナ・ワルツは幾つものメロディーをつなげたポプリ形式のおおらかな作りですが、「皇帝円舞曲」の場合、もう少し細かいユニットに別れていて、「威厳をたたえた部分」と「おしゃれでチャーミングなメロディユニット」の対比が第1主題、第2主題として聴くことで交響曲の一つの楽章に思えてきます。ヨハン・シュトラウス2世はブラームスとの親交が深く、ブラームスの得意とする音楽ジャンルは犯すまいと心に決めていました。
晩年、歌劇「騎士パズマン」を作曲しウィーン宮廷歌劇場(現在のウィーン国立歌劇場)で初演。名実ともに音楽史に残る作曲家と認められます。《皇帝円舞曲》はシュトラウスの晩年のワルツの中では最も人気のある楽曲と認められており、彼の「10大ワルツ」の一つに数えられている。シュトラウスの大親友だったヨハネス・ブラームスは、シュトラウスは年老いてから創造力が減退したと思っていた。二重和声が付けられたシリーズや、普段から簡単な曲ばかりを作曲しているにも関わらず、わざわざ「誰でも弾けるピアノ曲集」などと銘打ったシュトラウスの晩年の作品群をブラームスは嫌っていた。しかしこのワルツ《皇帝円舞曲》については非常に好意的にとらえ、「これは管弦楽法がすばらしいので、見事に鳴るんだ。しかし結局、魅力の秘密なんか考えてもしょうがないな。」などと語り、このワルツの楽譜がジムロック社から出版されることを喜んだという。




Posted by 武者がえし at 23:54
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