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2020年09月05日

珠玉の名曲をカラヤンの名演で聴く 第5盤 モーツァルト ディヴェルティメント第17番から《メヌエット》


音楽の形式をとった最も純粋で、明朗で、この上なく人を幸福にし、最も完成されたもの

ディヴェルティメントというのは18世紀に流行した音楽スタイルで、SPレコードからステレオLPレコードが登場する頃まで日本語では「嬉遊曲」と訳されていました。このディヴェルティメントとよく似た形式としてセレナードとかカッサシオンなどがあります。これらは全て貴族などの上流階級のための娯楽音楽として書かれたものだと言われていますが、音楽辞典にたよるとディヴェルティメントは屋内用の音楽で、セレナードは屋外用の音楽だった。さらに、ディヴェルティメントは6楽章構成、セレナードは8楽章構成が典型的な形と説明していますが、モーツァルトは楽章構成を見ても6楽章構成にこだわっているわけではありませんし、楽器構成を見ても管楽器だけによるもの、弦楽器だけのもの、さらには両者を必要とするものと多種多様です。
後年に目録化された全集の都合上、この「第17番」と番号が割り振られた「ニ長調 K.334」は「ロビニッヒ・ディヴェルティメント」とも呼ばれている、モーツァルトのディヴェルティメントの中で最も有名な作品です。モーツァルト一家は古くからザルツブルクの富豪ロビニッヒ一家と親交があった。依頼は夫人のヴィクトリアからで、息子ジークムントがザルツブルクの大学を修了するに当たってのフィナール・ムジークでした。ザルツブルク司教に使えて、教会のための演奏に明け暮れてうんざりしていた若い作曲家が思いのままに、友人たちに向けて贈った応援の曲だったのでしょう。

モーツァルト:ディヴェルティメント第17番
1939年に当時のSPレコード(78回転30センチ盤両面に約9分を収録できるフォーマット)に初録音したカラヤンは、生涯にわたってレコーディングに熱心に取り組み、1982年にコンパクト・ディスクが開発された際は、その収録時間に影響を与えたことでも知られています。LPレコードのフォーマットには、彼がベルリン・フィルの首席指揮者に就任する直前の1950年頃から、ベルリン・フィルを完全に自らの“楽器”とし、インターナショナルな存在へと変貌させた1980年代まで、彼の絶頂期の演奏が刻み込まれており、かつ彼自身が選曲や演奏ばかりでなく、装丁や録音にも深く携わったものが多く、カラヤンとレコーディングの関係を知るうえで欠かすことができません。

堂々たる「カラヤンのメヌエット」

ディヴェルティメント第17番は1965年8月、スイス・サンモリッツ、ヴィクトリア・ザールでの収録。この録音が行われたスイスのサンモリッツはヨーロッパの有名な避暑地で、カラヤンはベルリン・フィルの気の合うメンバーを引き連れて避暑旅行に行き、そのついでに普段あまりやらないような小編成の作品の録音を行っていた。
本盤もそうした録音の中から制作されたもの。小編成であったとしてもカラヤンの流麗豪華な音造りは不変であり、よく鍛え上げられたベルリン・フィルメンバーのアンサンブルの精度も相変わらず高い。
ディヴェルティメント第17番は特に第3楽章メヌエットが「モーツァルトのメヌエット」と呼ばれしばしば単独で演奏されることが多いが、カラヤンはやはり豪華で恰幅のよい演奏に仕上げている。評論家の吉井亜彦氏はこの第17番の演奏について「第3楽章はカラヤンのメヌエットといわせるだけの堂々たる美丈夫」と評している。





Posted by 武者がえし at 23:54
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