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2020年09月09日
カラヤンが愛した交響曲・管弦楽曲〜珠玉の名曲をカラヤンの名演で聴く 第9盤 ビゼー アルルの女組曲
親友に受け継がれたメロディー
この作品はアルフォンス・ドーテの戯曲「アルルの女」の劇附随音楽として作曲されました。ベストセラー「風車小屋だより」でその名をはせたフランスの文豪ドーデ。当時33歳だったビゼーは劇場の支配人からこの戯曲の上演に向けて劇付随音楽を書くように依頼されます。本を読んだビゼーは緻密に描写されたドーデの世界に大きく感銘を受け、短期間のうちに次々と音楽を作り上げていきました。また、ビゼーは物語の舞台であるプロバンス地方を過去に訪れたことがあり、その経験も生かし、地域色豊かな音楽に仕立て上げました。
戯曲の方は大成功を収めアルフォンス・ドーテの名声を不動のものにしましたが、ビゼーの音楽の方はあまり評判がよくなかったという話が伝わっています。理由ははっきり分からないのですが、どうも「アルルの女」を上演した劇場のオーケストラが小編成で技術的にも問題があったのではないかと推測されています。
しかし、作曲をしたビゼーの方はこの作品に絶対の自信を持っていたようで、劇伴全27曲の中からお気に入りの4曲を選んで演奏会用の組曲に仕立て直しました。これがアルルの女の「第1組曲」です。この組曲の方はビゼーの死後に発表されると大好評を博しました。そして、「第2組曲』はビゼーの死後、親友のギローが新たに4曲を選んで組曲にしました。こちらは、ビゼーが「アルルの女」のために作曲した劇伴だけでなく広くビゼーの音楽の美しさを広めるものでした。フルートの活躍が印象的な有名な第3曲のメヌエットは「美しいパースの女」からの転用です。
戯曲の方は大成功を収めアルフォンス・ドーテの名声を不動のものにしましたが、ビゼーの音楽の方はあまり評判がよくなかったという話が伝わっています。理由ははっきり分からないのですが、どうも「アルルの女」を上演した劇場のオーケストラが小編成で技術的にも問題があったのではないかと推測されています。
しかし、作曲をしたビゼーの方はこの作品に絶対の自信を持っていたようで、劇伴全27曲の中からお気に入りの4曲を選んで演奏会用の組曲に仕立て直しました。これがアルルの女の「第1組曲」です。この組曲の方はビゼーの死後に発表されると大好評を博しました。そして、「第2組曲』はビゼーの死後、親友のギローが新たに4曲を選んで組曲にしました。こちらは、ビゼーが「アルルの女」のために作曲した劇伴だけでなく広くビゼーの音楽の美しさを広めるものでした。フルートの活躍が印象的な有名な第3曲のメヌエットは「美しいパースの女」からの転用です。

いい曲を聴いたともう一度聞き返してしまう〜タンバリンの謎
ビゼーは30歳代を過ぎた頃から持病の扁桃腺の炎症が悪化し辛い日々を送りますが、そんな彼のもとにいつもギローの姿がありました。時にギローはビゼーにピアノを弾いて聴かせては、ビゼーを励ましたが、現在では歌劇場のレパートリーに欠かせない歌劇「カルメン」の再演中。舞台上でカードで運命を占う場面で不吉なカードが出たときに、ビゼーは心臓発作を起こし、36歳という若さで帰らぬ人となります。
親友の突然の死に悲しみにくれたギローがまとめた、新しい組曲。それは、生前ビゼーが残した組曲とは全く異なる「第2の組曲」でした。カラヤンの演奏は文句のつけどころなく、気の遠くなるような陶酔から、血湧き肉躍る、フォルティッシモまで、この短い組曲に、カラヤン=ベルリン・フィルの本領が存分に発揮されています。1970年12月28,29日にベルリンのダーレムにあるイエス・キリスト教会での録音。残響が優れたオーケストラの響きを豊かに聴かせます。
ビゼーは、サクソフォーンをオーケストラで一番最初に上手く使った作曲家でした。カラヤン時代のベルリン・フィルで、サクソフォーンのエキストラ奏者は、フランスでクラシック・サックス演奏の基礎を築いたといわれるダニエル・デファイエです。
親友の突然の死に悲しみにくれたギローがまとめた、新しい組曲。それは、生前ビゼーが残した組曲とは全く異なる「第2の組曲」でした。カラヤンの演奏は文句のつけどころなく、気の遠くなるような陶酔から、血湧き肉躍る、フォルティッシモまで、この短い組曲に、カラヤン=ベルリン・フィルの本領が存分に発揮されています。1970年12月28,29日にベルリンのダーレムにあるイエス・キリスト教会での録音。残響が優れたオーケストラの響きを豊かに聴かせます。
ビゼーは、サクソフォーンをオーケストラで一番最初に上手く使った作曲家でした。カラヤン時代のベルリン・フィルで、サクソフォーンのエキストラ奏者は、フランスでクラシック・サックス演奏の基礎を築いたといわれるダニエル・デファイエです。
カラヤンはビゼーのオペラをよく取り上げていますし、「カルメン」や「アルルの女」の組曲も何度も録音しています。ジェームズ・ゴールウェイが美しいフルートのソロを聞かせる「メヌエット」。
そして、全曲のクライマックスである「ファランドール」は「アルルの女」の舞台となるプロバンス地方の民謡のメロディーが2つ引用されています。一つは重厚感あふれる「3人の王の行列」、一方で軽やかにリズムを刻む「馬のダンス」。ビゼーが劇付随音楽として書いた、「3人の王の行列」は短調で、「馬のダンス」は長調ですが、この2つのメロディーが順番に登場するのは唐突になるので、ギローは純粋に音楽として楽しめるよう組曲に編曲する際に、つなぎを作り、互いの民謡のメロディーが寄り添うように調やテンポを一方の民謡に合わせる工夫をしています。この関係、ビゼーを励ましていたギロー2人のようではありませんか。いや、嘆きの主人公のもとにアルルの女が戻ってきたのでしょうか、最後は2つのメロディーが融合してフィナーレを迎えます。
全曲のクライマックスである「ファランドール」の太鼓ですが、現在は胴長のタンブランで演奏するのが主流ですが、カラヤンは徹頭徹尾タンバリンで演奏しており、華やかな効果を出しています。
彼はパリ管の監督もしていたからもちろんプロバンス太鼓も知っています。プロバンス太鼓の音は華やかさも緊張感も薄いが地方のお祭りの雰囲気は出ます。あえて、タンバリンを選択したのだと思います。主人公はこの時塔から飛び降りて死ぬのだから、この組曲のフィナーレにふさわしい。
タンバリンの叩き方も前半は外側を後半は皮を叩いて音色の差を出しています。そのタンバリンは最後から6小節前まで8分音符(1小節に4拍)で叩き続けるのですが、ところがこの録音では、最後から7小節前と6小節前のタンバリンは1小節に2拍で叩いています。胸が高鳴る意識的な演出。ああ、いい曲を聴いたという感じはタンバリンの方が強い。
カラヤンはテヌート演奏を追い求めていましたし、ベルリン・フィルですから、弦楽のピッチや奏法が完璧に揃えられています。当然共鳴によって豊かな倍音が生まれました。この演奏の興奮を他の演奏に期待すると、肩透かしを食わされますがカラヤン指揮の「ビゼー:アルルの女組曲」は誰にでもお薦めできる名盤です。この空間に溶け込むような響きを味わってください。
そして、全曲のクライマックスである「ファランドール」は「アルルの女」の舞台となるプロバンス地方の民謡のメロディーが2つ引用されています。一つは重厚感あふれる「3人の王の行列」、一方で軽やかにリズムを刻む「馬のダンス」。ビゼーが劇付随音楽として書いた、「3人の王の行列」は短調で、「馬のダンス」は長調ですが、この2つのメロディーが順番に登場するのは唐突になるので、ギローは純粋に音楽として楽しめるよう組曲に編曲する際に、つなぎを作り、互いの民謡のメロディーが寄り添うように調やテンポを一方の民謡に合わせる工夫をしています。この関係、ビゼーを励ましていたギロー2人のようではありませんか。いや、嘆きの主人公のもとにアルルの女が戻ってきたのでしょうか、最後は2つのメロディーが融合してフィナーレを迎えます。
全曲のクライマックスである「ファランドール」の太鼓ですが、現在は胴長のタンブランで演奏するのが主流ですが、カラヤンは徹頭徹尾タンバリンで演奏しており、華やかな効果を出しています。
彼はパリ管の監督もしていたからもちろんプロバンス太鼓も知っています。プロバンス太鼓の音は華やかさも緊張感も薄いが地方のお祭りの雰囲気は出ます。あえて、タンバリンを選択したのだと思います。主人公はこの時塔から飛び降りて死ぬのだから、この組曲のフィナーレにふさわしい。
タンバリンの叩き方も前半は外側を後半は皮を叩いて音色の差を出しています。そのタンバリンは最後から6小節前まで8分音符(1小節に4拍)で叩き続けるのですが、ところがこの録音では、最後から7小節前と6小節前のタンバリンは1小節に2拍で叩いています。胸が高鳴る意識的な演出。ああ、いい曲を聴いたという感じはタンバリンの方が強い。
カラヤンはテヌート演奏を追い求めていましたし、ベルリン・フィルですから、弦楽のピッチや奏法が完璧に揃えられています。当然共鳴によって豊かな倍音が生まれました。この演奏の興奮を他の演奏に期待すると、肩透かしを食わされますがカラヤン指揮の「ビゼー:アルルの女組曲」は誰にでもお薦めできる名盤です。この空間に溶け込むような響きを味わってください。
初版盤で鑑賞する価値あり
Posted by 武者がえし at 23:54
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