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2020年09月15日

カラヤン美学へのターニングポイント〜珠玉の名曲をカラヤンの名演で聴く 第15盤 ブラームスの田園交響曲


ブラームスの「田園交響曲」

明るいのびやかな雰囲気が、ベートーヴェンの6番を思わせる。ブラームスが最初の交響曲を作曲するのに20年以上も時間を費やしたのは有名な話ですが、それに続く第2番の交響曲はその1年後、実質的には3ヶ月あまりで完成したと言われています。ブラームスにとってベートーヴェンの影がいかに大きかったかを、これまた物語るエピソードです。
この10年後にはマーラーが登場して第1番の交響曲を発表するという、同時代の他の作品と聞き比べるとかなり古めかしい装いをまとっています。第1番でベートーヴェンを越えようとしたのではなく、ベートーヴェンに続きたかったんだろうか、とこの2番を聴くたびに思索します。
ブラームスの古典派回帰の思いは、母親との死別から顕著になります。が「セレナード第2番」など、より様式はバロック回帰でも、フランス6人組が感じられてなりません。とは言え、最終楽章の圧倒的なフィナーレは20年間我慢していた青春が舞い戻ってきたかのごとく若々しい。それが少年期を終えた青年の、若さみなぎったカラダが田園を駆け巡っているようで、その眩しさはブラームスの4つの交響曲の、ほかにはない。

DGG 138 925 カラヤン・ベルリンフィル ブラームス・交響曲2番

カラヤン美学へのターニングポイント〜指揮芸術に、まだ違うアプローチがある。

カラヤン&ベルリン・フィルの十八番ともいうべきブラームスの交響曲全集。こんなに重厚かつ流麗な演奏は、彼らにしかできない。1959年9月、カラヤンがドイツ・グラモフォンにステレオ録音を開始した最初期のこの録音は、ベルリン・フィルハーモニーを見事にドライヴした熱気溢れる演奏を繰り広げています。
1954年にフルトヴェングラーが急死すると、その後を受けて1955年にはベルリン・フィルの終身指揮者に就任します。その時両者の共演はすでに長い年月を持っていましたが、昔ながらの古き良き時代の田舎オーケストラの響きを大切にすることだった。フルトヴェングラーに変わってベルリン・フィルを手中に収めたと言っても、オーケストラの中にはフルトヴェングラーをはじめとしたかつての「巨匠」のことをよく知っている古参メンバーがたくさんいました。そんな猛者が跋扈しているオーケストラがあるのだ。わたしがその時のカラヤンだったら、駆け出しの頃を思い出してしまう。
ベートーヴェンはクリュイタンスと初のステレオ録音全集をベルリン・フィルは成し遂げ、ドヴォルザークの交響曲全集をクーヴェリックと録音。どうやらこのオーケストラは自分の手の中に入ったかなと確信ができたのが、61年から62年にかけて行われたベートーヴェンの交響曲全集の録音だったのでしょう。ここで彼はトスカニーニもかくやと言うほどの推進力に満ちた音楽を実現して見せました。
この時代のスタンダードな価値観に照らし合わせてみれば100点満点の演奏を持って、ベルリン・フィルも彼の軍門に下った。ベートーヴェンの録音が終わってから彼が取り組んだのはブラームスです。交響曲全曲とドイツ・レクイエム、そしてヴァイオリン協奏曲の録音が63年の9月から64年の4月にかけて一気に行われています。そして、その合間を縫うようにチャイコフスキーの悲愴(64年2月)とドヴォルザークの新世界より(64年3月)が録音されています。
「カラヤンは作品を下敷きにして自分を表現したことがない」 ― カラヤン指揮者コンクール優勝の高関健氏は、昨年末、カラヤン没後30周年を記念してNHK・Eテレが放送した番組で回想していたが、セルも同タイプだったと思えるが、カラヤンはオーストリアに居を構えていた。彼が死去したのは、そのアニフの自宅の応接間だった。そこがカラヤンが生涯貫いた古典作品の中でも、その時の彼が精神を込めることに夢中になった「彼の音楽」の姿で、没後30年が過ぎてなお魅力に『カラヤンだけ』を感じる。

初版盤で鑑賞する価値あり

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  4. CD

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