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Posted by おてもやん at

2020年09月19日

S/N比の優れたステレオ録音の魅力を表顕した〜珠玉の名曲をカラヤンの名演で聴く 第19盤 レスピーギ ローマの松


ステレオによるシステムで聴かされてこそ納得できる名曲

オーケストラ演奏の極限を追及したヘルベルト・フォン・カラヤンならではの演奏がここに凝縮。パリの作曲家ラヴェルの影響を大きく受けたレスピーギの本領を確実に聴き取る事が出来る一枚。しなやかさと迫力を併せ持ったレスピーギの名作がこれほどまでに表現された演奏はカラヤン以前ではありえないもの。弱音部の録り方の徹底した静かさでは、この「ローマの松」がもっとも素晴らしいものの一つだと断言できます。
カラヤンはモノラルの時代からステレオの時代に入って、オーケストラの響かせ方が変わります。個々の楽器のガッチリとした音像よりは楽器群が作り出す音の広がりに進化していきます。カラヤンという人は、そう言うメディアの進歩には誰よりも敏感な人でした。この「ローマの松」もオーディオマニアだからこそ、享受できる「福音」でしょう。こういう録音はマスを確かに再現できる ― つまりはS/N比の優れた、ステレオによるシステムで聴かされなければ、納得せざるを得なかったでしょう。
「ローマ3部作」についてはトスカニーニの絶対的録音が君臨しており、さらにムーティとオーマンディがそれぞれフィラデルフィア管を振ったブリリアントで訴求力のある名演 ― 熊本地震直後に鶴屋百貨店クラシックサロンでの鑑賞会で体感していただきました ― がありますが、カラヤンの演奏はそれらとは一線を画した性格の演奏となっています。ピアニッシモでもそれぞれのパートは響きが薄くなることもなく、己の持ち分をしっかりと果たしています。
特にローマの松(第4楽章「アッピア街道の松」)では、ブラスセクションのパワーと輝きに押されて隠れてしまう弦楽セクションのなめらかで流れるような動きがはっきり刻印されており、すべての楽器が力ずくではなく、しなやかに鳴りきって、その頂点で目も眩むような大爆発を演じて見せた、その美しさと流れ方が心地よい。流麗で重厚な弦の響きと、下から湧き上がってくるような音楽運びで、「ローマの噴水」「ローマの松」とも派手な表現ではなく実に精緻の極みであり、こけおどしではない純粋な音楽としてすっかり虜になりました。

Ottorino Respighi : Berliner Philharmoniker • Herbert von Karajan ‎– Fontane Di Roma • Pini Di Roma
  


Posted by analogsound at 23:54
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