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2020年09月25日
コロナ禍の心の隙間を宥めるカラヤンの演奏の名曲を聴く 第26盤 バッハ 管弦楽組曲
今必要なのは「みんなで楽しめる楽曲」ではなく、「一人ひとりに寄り添う楽曲」
独奏フルートが華やかに活躍する組曲第2番、有名な『G線上のアリア』の原曲であるアリアを含む第3番。ヨーロッパ各地に起源を持つ様々な舞曲を組み合わせたバッハの管弦楽組曲2曲。1964年8月14~24日、スイス・サンモリッツ、ヴィクトリア・ザールでの収録。ザルツブルク音楽祭の合間をぬって、カラヤンとベルリン・フィルのメンバーがスイスの避暑地サンモリッツで録音したアルバム。通奏低音のチェンバロを担当しているのはドイツの女流名手エディット・ピヒト=アクセンフェルト、組曲第2番のフルート独奏は当時のベルリン・フィル首席奏者のカールハインツ・ツェラーと、名手たちによる共演が楽しめる。ロマンティックで流麗、堂々としたバッハだ。
これらのバロック音楽はカラヤンが夏休みにベルリン・フィルをサンモリッツに招待し、そこで録音したもの。昼間は大自然の山を歩いたり、湖で楽しんだりし、夜に録音。雨が降ってたら昼間の録音という最高な環境下での収録だったと当時を振り返る楽員の回想録があります。
なお、カラヤンはこの後映像作品としても「ブランデンブルグ協奏曲」を取り上げているのですが、そこでは自らがハープシコードを演奏しながら指揮をしていました。しかし、この64年から65年にかけてのサンモリッツでのバッハ、ヘンデル録音では、ハープシコードはアクセンフェルトに任せて、自らは指揮に専念しています。このあたりの使い分けが「格好つけ」として嫌われる要因になっているのかもしれません。
劇的起伏豊かで緩急も自由自在であり、カラヤンの卓越した棒さばきによる華麗で明朗なるバッハを堪能できる。モダン楽器による大バッハの作品演奏としては一つの到達点に達した名演だと思える。イギリスの批評家リチャード・オズボーンは「歓びと力にあふれた、素晴らしいバッハ」「いまなお聴く者を楽しませている」と評価している。
これらのバロック音楽はカラヤンが夏休みにベルリン・フィルをサンモリッツに招待し、そこで録音したもの。昼間は大自然の山を歩いたり、湖で楽しんだりし、夜に録音。雨が降ってたら昼間の録音という最高な環境下での収録だったと当時を振り返る楽員の回想録があります。
なお、カラヤンはこの後映像作品としても「ブランデンブルグ協奏曲」を取り上げているのですが、そこでは自らがハープシコードを演奏しながら指揮をしていました。しかし、この64年から65年にかけてのサンモリッツでのバッハ、ヘンデル録音では、ハープシコードはアクセンフェルトに任せて、自らは指揮に専念しています。このあたりの使い分けが「格好つけ」として嫌われる要因になっているのかもしれません。
劇的起伏豊かで緩急も自由自在であり、カラヤンの卓越した棒さばきによる華麗で明朗なるバッハを堪能できる。モダン楽器による大バッハの作品演奏としては一つの到達点に達した名演だと思える。イギリスの批評家リチャード・オズボーンは「歓びと力にあふれた、素晴らしいバッハ」「いまなお聴く者を楽しませている」と評価している。

2020年09月25日
多様性に溢れたバロック音楽、クラシック音楽の最高傑作をカラヤンの演奏で聴く 第25盤 ヘンデル 合奏協奏曲
おふくろの味〜情熱漢ヘンデルの人間味
「合奏協奏曲」は、独奏楽器群(コンチェルティーノ)とオーケストラの総奏(リピエーノ)に分かれ、2群が交代しながら演奏する音楽形式です。「協奏曲」とあると、ベートーヴェン以降の協奏曲や、バルトークの「管弦楽のための協奏曲」がイメージしやすいものですが、ヴィヴァルディが「ヴァイオリン協奏曲」を発明したと、鑑賞会では折あることに説明してきました。ヴィヴァルディ以前の、コレッリの「合奏協奏曲」は弦楽アンサンブルで演奏されるのですが、ヴィヴァルディはその演奏形態を踏襲しています。その後ヘンデルの時代になると「リピエーノ」に管楽器が導入されることでより華やかさを増していきます。
ヴィヴァルディの楽譜を主人筋が所有していたこともあって、バッハが熱心に勉強しています。バッハの有名曲「ブランデンブルク協奏曲」は、ブランデンブルク=シュヴェート辺境伯クリスティアン・ルートヴィヒに献呈された故あって、その愛称で親しまれています。自筆譜にはフランス語で「いくつもの楽器による六曲の協奏曲」(Six Concerts Avec plusieurs Instruments)と記されているだけです。ヘンデルの「合奏協奏曲」は、バッハとは違うベクトルで作曲されています。同じバロックの時代にこの作品群と対峙できるのはバッハの「ブランデンブルグ協奏曲」くらいですが、二つを較べれば、バッハとヘンデルの気質の違いがはっきりと見えてきます。ヘンデルは古典作曲家中の巨峰である。バッハが厳格で構成的だとすれば、ヘンデルの音楽は明らかに色彩豊かで流動的です。バッハが「西洋音楽の父」であるならば、ヘンデルは「西洋音楽の母」でなければならない。ヘンデルは、この形式で30曲程度の作品を残しているのですが、最も有名なのは作品番号6の12曲です。
この合奏協奏曲は、正式名称が「ヴァイオリンその他の7声部のための12の大協奏曲」となっています。ここでの「大協奏曲(Grand Concerto)」というのが「合奏協奏曲」のことです。しかし、この「合奏協奏曲集」の面白さが尽きないのは、バッハのように全体構成を念頭に置いて12曲揃えた作品集ではなく、その一つ一つが全て独自性を持った音楽であり、一つとして同じようなものはないという点です。
ヴィヴァルディの楽譜を主人筋が所有していたこともあって、バッハが熱心に勉強しています。バッハの有名曲「ブランデンブルク協奏曲」は、ブランデンブルク=シュヴェート辺境伯クリスティアン・ルートヴィヒに献呈された故あって、その愛称で親しまれています。自筆譜にはフランス語で「いくつもの楽器による六曲の協奏曲」(Six Concerts Avec plusieurs Instruments)と記されているだけです。ヘンデルの「合奏協奏曲」は、バッハとは違うベクトルで作曲されています。同じバロックの時代にこの作品群と対峙できるのはバッハの「ブランデンブルグ協奏曲」くらいですが、二つを較べれば、バッハとヘンデルの気質の違いがはっきりと見えてきます。ヘンデルは古典作曲家中の巨峰である。バッハが厳格で構成的だとすれば、ヘンデルの音楽は明らかに色彩豊かで流動的です。バッハが「西洋音楽の父」であるならば、ヘンデルは「西洋音楽の母」でなければならない。ヘンデルは、この形式で30曲程度の作品を残しているのですが、最も有名なのは作品番号6の12曲です。
この合奏協奏曲は、正式名称が「ヴァイオリンその他の7声部のための12の大協奏曲」となっています。ここでの「大協奏曲(Grand Concerto)」というのが「合奏協奏曲」のことです。しかし、この「合奏協奏曲集」の面白さが尽きないのは、バッハのように全体構成を念頭に置いて12曲揃えた作品集ではなく、その一つ一つが全て独自性を持った音楽であり、一つとして同じようなものはないという点です。
