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Posted by おてもやん at

2020年10月04日

音楽の歴史の中に一つの革命的な端緒を開いた《熱情》の中にあるベートーヴェンの驚くべき綿密な思考を聴き比べる。

仲道郁代 ベートーヴェン・ソナタ全曲 第8集

ベートーヴェンのピアノ・ソナタには「愛称」が付けられているものがたくさんありますが、彼自身が名付けたものは《悲愴》ソナタだけだと言われています。「ベートーヴェンの三大ピアノ・ソナタ」に数えられるこの《熱情》も本人が名付けたものではありませんでした。

ヴァレンティーナ・リシッツァ



ピアノ曲に限ったことではないが、「愛称」を曲名と思い込んでしまうと、誤った作品イメージを描いてしまうかもしれない。場合によっては、演奏解釈にまで影響を与えてしまうだろう。


クラウディオ・アラウ



《熱情》の由来もベートーヴェン死後10年以上を経た1838年にハンブルクの音楽出版社クランツから出版された、「4手連弾版によるベートーヴェンのヘ短調ソナタ」の表紙に印刷されたSonata appassionata が初出で、以後オリジナルのOp57も《アパッショナータ(=熱情)》と呼ばれるようになった。


ダニエル・バレンボイム



ベートーヴェンのソナタに抱く、一般的なスタイルです。


ウラディーミル・アシュケナージ



これまでに楽想の対比ということでは、同じ旋律或いは同じ動機を、piano やforte で 表すことは多々あっても、ppやffで提示することはありませんでした。そして、第一楽章の終結では音楽はdiminuendoとなり、最後にはppp の表示がベートーヴェンによって書かれていることは特筆すべきことです。疾風怒濤の感情の嵐、情熱の奔流の終楽章では、その当時のピアノという楽器の概念などを度外視して、狂暴なまでの感情の爆発に終始します。
楽想を形成する一つひとつの動機、その構成、配置に至るまで、そこにはベートーヴェンの驚くべき綿密な思考があったことを、後世の数々のベートーヴェン研究家達が指摘しています。
ベートーヴェンの音楽には、ソナタ形式という原理のなかに、それまでになかった葛藤に満ちた、攻撃的で破壊的な力が入ることを許し、いわば音楽の歴史の中に一つの革命的な端緒を開いた。そして、最後のコーダでは、実に10回にわたり楽器の最高音を叩き、その後、凄まじい奔流となってピアノの最低音の奈落の底まで、聞く人の心を引きずり込むようです。


ウラディミール・ホロヴィッツ



ベートーヴェンのソナタを弾いていることより、ピアノ音楽の大傑作のファンタジーが羽ばたいていく。


マレイ・ペライア



幻想的なムードをまとった、大人のベートーヴェンです。
  


Posted by analogsound at 23:54
Comments(0)ベートーヴェンとピアノ